欲望の見つけ方: お金・恋愛・キャリア

人の欲望が、他者の模倣からきているという説を唱える本。

完全に合意ではないものの、一理あるのと、巻末にある27の動機づけパターンは内省に役立つ。

私の欲望は他者の媒介によって誘導されたもので、欲望の生態系は自分が理解できる規模を超えており、自分はその一部である。

ジラールは、このように特定の もの ではなく、新しい生き方やありかたを求めて奮闘することを「形而上的欲望( metaphysical desire)」と呼ぶ

模倣の競争においては、目標物は ライバルが求めるから 価値があるのだ。ライバルが求めなくなれば、私たちも求めない。何か別の新しいものを探しに行くことになる。

模倣の欲望に対処するコツ1 モデルをはっきりさせる

模倣の欲望に対処するコツ2 模倣に逆らう知恵の源を探す

模倣の欲望に対処するコツ3 不健全なモデルとの境界をつくる

人はみな自分の弾み車をつくらなければならない。たとえば健康にしても、弾み車は一つではない。あなたの弾み車は私のものとはまったく違って見えるかもしれない。もっとも効果的な弾み車は、自分自身をよく知っている人から生まれる。将来あなたが何かをしたくなる可能性を左右するものについてはすでにわかっているだろう。重要なのはサイクルを明確にして、始動させることだ。

弾み車のステップはそれぞれ一文で書くことを勧める。そのときに「~したい」と入れて、次のステップは「その結果」「そうすれば」「すると」といった言葉でつながるようにする。

都市計画の担当者が、公園や壁画や自転車専用道路が交通から犯罪にいたるすべてにどのような影響を与えるか考慮する必要があるように、優れたリーダーは自分の決断が 人間の生態系 ──人間の生活や発展に影響を与える絡みあった関係──にどのような変化をもたらすか考える必要がある。人間の生態系のなかで模倣の欲望ほど見落とされる

ザッポスに会社を売却するのを失敗したとき、私は自分に問いかけた。自分はそもそもなぜこの会社を興したいと思ったのか。薄い欲望に覆われて見えなくなったり、捨ててしまったりした濃い欲望が少なくとも三つあった。 一つ目。起業したとき、私は世界に価値を提供する会社がつくれるなら、自分の名前が世に知られるかどうかはどうでもよかった。 二つ目。私は自分なりのライフスタイルをつくりたいと思っていた──起業家の特典の一つだ──が、いつのまにかほかの起業家に倣っていた。 三つ目。昔からある英知を求めずに、ミームやツイート、IT情報を消費するようになった。

このとき私は自覚した。自分の心の奥底には、人生の大きな疑問を探究したいという欲望がある。まずは自分から始めて、人間を深いところまで理解したい

時間をかけて同僚(あるいはパートナー、友人、クラスメート)から、人生でもっとも満たされた経験について聴き、自分も同じように語るというものだ。相手が達成感を覚えた経験について理解を深めれば深めるほど、互いにどのように協力しあえばいいかわかってくるだろう。仕事において相手を動かすもの、動機づけるもの、満足感につながるものがわかってくる。

核となる動機づけの原動力は、不朽かつ圧倒的で飽くことを知らない。子供のときからの行動の大半もこれが説明してくれるだろう。

充足の物語には三つの要件がある。 1  行動であること。 受動的に経験したことではなく、あなたが具体的に行動して、あなたが主役でなければならない。 2  自分でうまくやったと思っていること。 ほかの誰でもなく自分で評価して、非常にうまくやったと思えることでなければならない。 3  充足感をもたらすこと。 行動した結果、深い充足感を覚えなければならない。喜びさえ感じるかもしれない。